2018年5月1日
清明節も過ぎ、いよいよ春のお茶が届きはじめた。
昨年のシーズン、一度も飲まずに飲み残したお茶が、どのくらいあるかを調べて、ちょっとびっくりした。あと、3か月はゆうに飲める量のお茶が残っている。
昨シーズンは、お茶をいただく機会も多く、残っているお茶の多くは、名前も知らないお茶である。調べても、ネット上では、その存在は確認できても、どんな歴史をもっているのか、どういう特徴があるのかなど、調べがつかない。
いただいた時に、もっと詳しく説明を聞くべきだったが、たいていは、忙しい中での受け渡しで、「ありがとう」をいうのが、せいいっぱいであったと、記憶する。
ほとんどが新しく作られたお茶であろう。
新しく、メーカーとしてスタートし、新しい名前をつけたお茶。あるいは、多商品化する一環で、新しくラインアップに加えたお茶。いろいろの状況、ケースを想像させる。
新しいお茶は、作り手あるいは製造元にとっては、希望の商品である。組織・規模の大小、違いはあっても、世に送り出す商品には、夢が託されている。
でも、世に送り出されるすべての商品が、売れるとは限らない。
お茶のように、地域性が高い商品、つまりその地域で作られ、その地域を中心に消費される商品は、供給過多になりやすい。
スタートは、新規性があって、売れるかもしれないが、定着して売れ続けるためには、よほど地域の消費者に受け入れられなければならない。
お茶は、嗜好品である。消費者は、どこかに変化を求めながらも、安定したものを求める。あるいは、習慣的に身についているものをなかなか捨てようとはしない。ある部分では、非常に保守的な商品である。
こう新しいお茶が、次から次と出てきては、消費者は対応しきれない。ここ10年、結局は消えていくものが多い。
そんな中でも、突然、全国的に売れる商品が出たりするので、作り手は、その夢を追うことになる。商品開発や商品営業の難しさを考えないのでは、と思うくらい、新しいお茶が登場する。
そんなお茶を飲む時、このお茶とは、この一回きりの出会いで、もう味わうことはないだろう、という思いがある。
一つは、買いたくても買えない。場所が遠くて、入手ができない。ネットの時代だから、手を尽くせば、入手できないわけではないが、何人もの人の手を煩わせなければ無理である。
もう一つは、このお茶は数年後には消えてなくなっているのでは、という思いが頭をよぎる。
数年のうちには、なくなっているお茶になってしまうだろう、という一期一会である。
つくづく思うことは、「よい時代に本をまとめることができた」と思う。
中国茶の本を書こうと思ったのは、中国茶に興味を持って、その種類の多さに驚く一方で、中国茶のわかりにくさを、いろいろ感じていたからである。
とくに、茶名の多さには、底なし沼状態を感じていた。難しい専門用語もある。それをわかりやすく説明してくれる人も、本もない。人に聞いても、言うことが違う。何を手掛かりにすればよいか、その手掛かりが欲しかった。
つきつめるところ単純な手掛かり、それは、「どんな名前のお茶があり」「それはどこで作られているのか」、ということであった。
その手掛かりがあれば、入手の手掛かりにもなるし、飲むことへの夢も広がる。あるいは、飲んだお茶がどこで作られるお茶か、それを知ることができるだけでも、ずいぶん中国茶の世界は広がっていけると思った。
この十年、同じような中国茶の事典や図鑑を作ろうと思っても、無理である。
あまりにも、新しい茶名・お茶が次から次と登場し、そしてそれが続けて作られているのかも、追跡調査するには、労力がたりない。
これから中国茶に興味をもつ人は、この最低の手掛かり、頼りにしていったらよいのか、ずっと考えていた。
以前から気になっていたが、セミナーを聞きに行く時間もなく、ちょうど行った人がセミナーで配布された資料を見せてくれた。
この10年。中国では、中国茶のいろいろの「曖昧さ」を、国レベル、地方レベル、あるいは組織レベルで、「基準」を作ることで、ガイドラインや商品の正当性を作り上げようという作業が進められてきた。
それを、整理し、日本語に訳しながら、セミナーを開いておられる。
その「基準」づくりは、功罪両面をもってはいる。また、その基準に取り上げられない無数に近くある「おいしいお茶」を、どう伝えていくか、といった課題はある。が、中国茶を知る、親しむうえでの、拠りどころ、手掛かりの一つにはなっていけると思う。
森崎雅樹さん(teamedia)の活動が、これから中国茶と接する人のよりどころの一つになっていけるのではないかと思う。できれば、専門家ではなく、マニアックな人ではなく、ふつうに中国茶が好きな人たちが、頼りにできる情報、活動になっていってほしい。
森崎さん、がんばれ!
まだ紹介していなかった、ということで、慌てて紹介する「いっぴん」である。
「かりんとう」は、あとを引く。おいしいと、止まらず、一袋食べてしまって、胸焼けという経験が何度かある。けっこう好きなお菓子の一つである。
その「かりんとう」の中で、私のイチオシは、写真にある「えんどう豆・かりんとう」である。
久留米の「黒棒」で有名なお菓子屋さん、「黒棒本舗」が作っている。
原料は、「えんどう豆」。どう加工しているかわからないが、ノンフライをうたっている。たくさん食べても、胸焼けはしない。
黒糖のコーティングもほどよく、おいしい。あとを引く。
勢いで、一袋食べてしまいそうであるが、なぜか途中で、十分満足、と自然に終わりを知らせてくれる。えんどう豆が原料のせいであろうか。
久留米の黒棒本舗のネット通販で、購入可能だが、いろいろのネット通販で検索すれば、ずらり出てくる。
私は、福岡に行く時、博多阪急の地下一階、中ほどにある博多、九州地方の特産食品を扱っているコーナーで、買い占める。帰りの荷物がいっぱいの時、箱買いをして、東京まで送ってしまう。デパートなので、送料も多少安い気がする。
一度は、騙されたと思って、お試しあれ。